2024年6月4日 — Stacy Malone、Pinterest グローバルビジネスマーケティング担当 VP
毎日の生活の中で、スマートフォンの通知やビデオ会議中に聞こえる犬の鳴き声など、いろいろなものに気を取られて集中が途切れてしまうことはありませんか?このようなノイズに打ち勝つには、とにかく目立つことが重要だと多くのブランドが考えています。しかし、「アテンション」(注意)というのは思っているよりも複雑なものです。
これをさらに詳しく探るため、Amplified Intelligence 社は、消費者の注意パターンがマーケティングの効果にどのような影響を与えるかについて調査しました。その結果、変化を続ける今日のメディア業界において、成功についての考え方も変えていく必要があることを発見しました。注意には複数の種類があり、目立つことだけを優先していまうと、価値を見逃してしまう可能性があります。
Amplified Intelligence 社は、視線追跡やデバイスの使用状況といった高度な手法を使用して、ユーザーがどのように情報を消費するのかを計測しました。この研究では、「トータルアテンション」と呼ばれる指標が最も重要であることが証明されました。トータルアテンションは、人々が周囲の情報に関わる 2 つの主な方法である「能動的注意」および「受動的注意」を組み合わせたものです。
能動的注意とは、意識的に注意を向けることを意味し、大々的なテレビ CM やインパクトのあるデジタル広告などの戦略で見られます。しかし、今回の研究では受動的注意も同じくらい重要であることがわかっています。受動的注意とは無意識的なもので、例えば別のことをしながら BGM を聴いているような場合が当てはまります。マーケティングの観点から言えば、受動的な戦略は控えめでありながら、価値のある結果をもたらすことができます。
能動的注意を利用した戦略は、意識的な注目を促すため、無視しにくいものです。
受動的注意による戦略は、マーケティングメッセージを無意識のうちに強化します。
人々がブランドのメッセージや商品に出会うたびに、認識と再認識のサイクルが繰り返されます。能動的注意を利用した戦略は、物理的に無視することが難しいため、認知度をアップさせ、ブランドや商品の存在を知ってもらうのに有効です。一方で、受動的注意を利用した戦略では、メッセージを繰り返し伝えます。そうすることで、既にある記憶を強化し、幅広い意思決定プロセスであなたのブランドを思い浮かべるようになります。
人々は気付かないうちに能動的注意と受動的注意を行き来しています。そのため、そのうちの片方に働きかけるアプローチではなく、両方を獲得するための戦略を構築することが大切になります。
ユーザーは常に「能動的注意」と「受動的注意」という、2 種類の注意パターンを行き来しています。両方のパターンを考慮することで、メディアプランを強化することができます。
Amplified Intelligence 社による調査は、受動的および能動的なマーケティング戦略がキャンペーンの成果に与える影響についても分析しています。いずれもサイトへの訪問数などを促す効果は証明されたものの、その動態は少し異なっています。
能動的注意を用いた戦略はより高価である一方で、受動的注意を用いた手法は効率性に優れていることがわかりました。この調査では、「1 ドルあたりの注意秒数」と呼ばれる指標、つまり、特定の広告への支出 1 ドルに対してユーザーが注意を払った秒数を調べました。最終的に、受動的注意を狙ったメディアプランは、能動的注目を狙った戦略と比較して、1 ドルあたり 6.7 倍の注目秒数を促進する結果となりました1。
この優れた効率性は、メディア戦略のさらなる強化に役立ちます。理想的なのは、一つのプラットフォームで両方の注意パターンを獲得し、相乗効果を得ることです。
注意に関する戦略がオーディエンスと予算の両方にどのような影響を与えるか、その相互関係について考えてみましょう。トータルアテンションを促進することで、メディア戦略と支出の効果を高めることができます。
Amplified Intelligence 社の研究は、異なるプラットフォームにおける結果を比較して、トータルアテンションがどのように実現されるかを調査しました。Pinterest が他のプラットフォームより 170% 多くのトータルアテンションを獲得するという喜ばしい結果となりました2。
Pinterest におけるトータルアテンション(他プラットフォームと比較)2
Pinterest における受動的注意(他プラットフォームと比較)3
Pinterest ユーザーは広告を 1.5 倍ゆっくり見ています(他プラットフォームと比較)5
受動的注意はこの結果に大きく貢献しており、Pinterest アドは、今回の研究で比較した他のプラットフォームより 7.3 倍多くの受動的注意を獲得しました3。この大きな理由は、単純にユーザーが Pinterest のコンテンツを楽しんでいるからです4。Pinterest では、ユーザーが自分らしい毎日を過ごせるよう、行動の源となるインスピレーションを得られるプラットフォームを意図的に構築しています。また、Pinterest ユーザーは他のプラットフォームのユーザーと比較して、広告を 1.5 倍ゆっくり見ています5。
アテンションの相乗効果は、特定の広告に対する注意を高めるための施策です。この調査では、アテンションの相乗効果を活用した広告主は、活用しなかったブランドと比較して、Pinterest 上の広告に対する注意を約 3 倍も増やしています6。以下の 2 つの相乗効果を活用して Pinterest ユーザーの注意を集め、マーケティング効果の向上につなげましょう。
コンテキストに合った場所で広告を展開する(例:ファッション関連コンテンツにハンドバッグの広告を表示する)ことで、能動的注意が 60% も増加することがわかっています7。これは、ユーザーの気持ちが正しい方向に向いていると、気が散りにくいためです。商品やサービスの広告を内容に合った場所に表示することが重要です。このようなコンテキストターゲティングはすでに Pinterest に組み込まれており、インタレストターゲティングやキーワードターゲティングによってさらに絞り込むことができます。
強い感情的反応を引き起こす広告は、アテンションを 50% 増やすことができます8。ハッピーな広告素材は特に効果的です。この研究では、ハッピーかつ驚きの要素が多い広告は、これらが少ない広告よりも、トータルアテンションの秒数が多いことがわかりました9。
本記事において、特に注目すべきなのは「受動的注意の持つパワー」です。受動的注意と能動的注意の両方に働きかける総合的なアプローチを採用して、マーケティの効果を高めましょう。アテンション指標がまだ一般的ではない今こそ、差をつけるチャンスです。